過去の学校だより

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令和6年度



(ラストバッター)      New!


◆結構長く生きていると、ふとしたことで思い出すたびに冷や汗がでるようなことがいくつかはあるもの。しかも、それが厳粛な場ではなおさらである。

◆お葬式にどうにか間に合った時のこと。すでに会葬者のお焼香は済んでおり、息をはずませながら急いで焼香台の前にたった。もちろんいつものように香入れと香炉のの二つが隣り合わせに並んでいる。

 さて、香をつまもうとして、はたと困ってしまった。ラストバッターの焼香となったので、香炉には香が山盛りになっていて、煙が出ていない。つまり二つのどちらが香炉でどちらが香入れかがわからないのである。

 すっかり慌ててしまって、えいっとばかり一方に3本の指を入れると、見事に中心部が火の付いている香炉。なんと熱いこと。

 しかし、焼香台の両側には多くの会葬者の目。とても声を立てることも出来ず、じっと我慢して何事もなかったかのようにそっとつまんだ香を元に戻したが、あれはみんなにバレていたに違いない。

◆一方、慣れない神式やキリスト教の葬儀でトップバッターになった時。玉串や花を供える時の作法がわからずうろたえていると、係の人がそっと小さな声で遠慮がちにアドバイス。感謝とともに自分の顔が赤くなるのが分かるようであった。

 以来、慣れないことにはラストバッターとトップバッターは避けるようにしている。

(R6.9.23岡山東支部事務局子)




(よろめき・つんのめり)  New!


◆調査によると日常生活で車いすが必要になったり、寝たきりになる原因の1位は脳卒中。2位が老衰。さて3位は?

◆さて3位は?

 通常なら2か月位で日常の生活に戻れると思われる「骨折」が原因とのこと。そして、高齢者の転倒の多くは意外にも住みなれた家で起きているというデータ。

 なるほど、しゃがんで何かを拾おうとするとした時に、妙に頭が重くそのままつんのめってしまいそうになり、ひやっとしたことは最近よくある。

◆よくわかっているはずの家の庭の段差を踏み外して。風呂場で滑って。立ってズボンをはいていてふらついて。いや座布団や新聞紙にさえつまずいて骨折することもあるという。これらは反射神経、バランス能力の低下によるそうだ。

◆童門冬二(作家)さんは自著の中で、高齢者のよろめき、つんのめりを防ぐ身近な3つの対策を紹介。

 (1)歩くとき、先ず靴のかかとから地面につける。

 (2)立った姿勢でかかとを上げ、つま先に体重をかける。その姿勢で両手を前に出し、水平状態から上に振り上げる筋トレ。

 (3)寝ている時に、足の指でじゃんけんのグーとパーを繰り返す。

 これらの心がけで、足指の力が強化され転倒防止になるという。

◆先日先輩からの「80歳を過ぎて転ぶと、以後1年以内にもう一度転ぶぞ。二度あることは三度ある!」とのひと言が追い打ちをかけた。

(R6.8.26岡山東支部事務局子)




(読み聞かせ)        


◆東支部では社会奉仕活動として、昨年(11/28)藤崎苑を訪問させていただいた。そのとき、藤崎苑の皆さんが菅田桂子さん(現女性部長)の情感豊かに語られる昔ばなし「笠地蔵」「風と神と子ども」に感動されたことは先の12月の帯封でお伝えしたところ。

 話を聞きながら、かつて親に読んでもらっていた子どもの頃の自分にタイムスリップさせて、昔ばなしの世界に浸って元気をいただかれている皆さんの姿が目に浮かんでくる。

◆さて、ユダヤ・ユダヤ系の人々は世界人口のわずか0.25%というのに、これまでのノーベル賞受賞者170人の20%を占めるなど、さまざまな分野で優秀な人を輩出していることは広く知られている。

 このことについて濤(なみ)川(がわ)栄太(教育評論家)は「ユダヤ人の親は子どもが乳幼期のときから、読み聞かせと音読を繰り返して育てる」というユダヤ教に基づく家庭教育の成果だと述べている。乳幼児期の読み聞かせは親子の絆を深めるとともに、想像力を刺激して豊かな心を持った子どもを育てるというわけである。

◆親子での間はもちろんのこと、ボランティアの方々から聞いた感動は、子どもたちの心の中であたためられて人格に一部となり、やがては美しい花が咲く。

 もしかして、その時の子どもたちの中から、ノーベル賞受賞者が・・・。


(R6.7.30岡山東支部事務局子)




(ドクダミ)        


◆今年も梅雨時になって、庭の塀と道ばたの境に立つ電柱の足元に白い清楚な花がいっせいに咲いた。ドクダミである。

◆ドクダミはその名前の響きや葉っぱの独特な匂いに似ず、白い十字架型の花は誠に清楚でかわいい。スペード形をした葉の濃い緑は一層白を引き立てる。

 また、ドクダミには「毒を矯める(ドクダメ)」「毒を止める(ドクトメ)」との意味があり、古くから薬用として大事にされてきた。肌のシミ、便通改善などの健康茶としての効用は現在も変わらないようである。

 花言葉が「自己犠牲」なのは、ドクダミが自分の身を挺しても解毒してくれるからであろう。

◆そうそう、ドクダミの白い花びらのように見えるところは、実は花びらではなく葉が変化したもので、本当の花は中心に立つ黄色の棒状(おしべ、めしべがぎっしり)のところのので要注意。

◆さてこの時期、雨の風情に合う山法師、泰山木(たいさんぼく)、梔子(くちなし)、夏椿、柿の花の色もなぜか真っ白。

 一体彼らは夏に向かって、白い花を通してわれわれに何を告げようとしているのだろうかと思い巡らすのも面白い。

 (参考文献)「天声人語」2015,2020 (夏)朝日新聞

       [季節を知らせる花] 白井明大 山川出版


(R6.6.25岡山東支部事務局子)


(まめ・豆・忠実)        


◆「街中で、中学校時代の先輩から声をかけてもらった」。「よう!まめにやってるな」と。

 達者なようだな、いいことだとの先輩の心根が伝わってきたひと言だった。「まめ」とは良い言葉である。

◆このときの「まめ」を辞書で調べると、漢字は「豆」ではなく「忠実」となって驚いた。たしかに「まめに働く」、「まめにメモをとる」などの使われ方からしても、この「忠実」の漢字があてられているのは納得である。従って、「まめまめし」(ほね惜しみしないで働くの意)は「忠実忠実し」と書くとは超難問クイズ。

◆さて、「まめ」について。

 帯津良一(医師・著述家)が「豆」が体や心にいいことを漢字と関連づけて紹介している。(「1分間脳活法」)

  ・頭    豆を食べると頭がよくなる

  ・喜ぶ   豆を食べると体が喜ぶ

  ・豊か   豆を食べると心が豊かになる

  ・嬉しい  豆を食べると嬉しくなる

  ・登る   豆を食べて山登りの体力を

◆TVの健康、料理番組などで豆が体や心にいいことは現在もことあるごとに発信されているが、およそ3千年以上も前の中国古代人は既にそのことをよく知っていた。だから、漢字に託して私たちにメッセージとしてそっと告げていてくれたに違いない。

 3千年も前の先人たちの知恵に、ただただ圧倒されるのである。早速、納豆を買いに行こうと。まだ、間に合うよな。


(R6.5.25岡山東支部事務局子)


(桜 色)            

   

◆岡山市の桜の開花は、今年は平年より2日、去年より8日遅れの3月30日。その3日前に友人から「さくら道(後楽園の東、旭川沿い)はまだだったけど、曹源寺のしだれ桜とは『来年また来ます』と、おしゃべりして帰りました」とのメール。

◆本当にきれいなのは3〜4日とされ、その間も風や嵐が吹けば潔く散っていく桜の姿にわれわれは美を感じる一方、桜を染料に使う染織作家の志村ふくみさん(人間国宝、「一色一生」などの著)の著書や対談での次の言葉(いくつからの要約)は、一層われわれを桜の世界に招き入れる。

◆「桜色の染料は花びらからではなく、桜の樹の皮を煮出して取り出します。桜は花を咲かすために樹全体に花の命を宿しているのです。桜の花が咲く前から幹の下には鮮やかな桜色の樹液が脈々と流れ、一年中開花の時をじっと待っているのです。と。

◆われわれが見る花びらの色は、桜全身のほんの先端だけに姿を出したものにすぎなかったということだ。

  『本当のもの、大切なものは、

           見えるものの奥にある』

と、改めて教えていただいた。

◆梅雨空に葉を広げ、夏は日差しを浴び、冬は寒さにじっと耐えてきて、春になって咲く「桜さん」に、ひと言声をかけてみるのはどうだろう。返事が聞こえるかも。

    えっ!今はもう葉桜?

         大丈夫、来年も待ってくれるから!


(R6.4.25岡山東支部事務局子)







◆本箱を整理したら、走り書きした小さな紙片がでてきた。


                               「 夢 」


                     夢中になれるものを抱き、


                         尋(もと)めつづけることができる


                    ―  それはどんなに 幸せなことでしょう  ー



白汀

◆多分7〜8年も前?多分県文化センターで?「なぎさ会」の会員さんによる書道の作品展があった。会場に入ったすぐのところに掲示されていたこの「夢」のメッセージにいたく感銘。その場でメモしたことを思い出した。

◆白汀さんはご存じのとおり「なぎさ会」を創立、後進の育成にも尽力され山陽新聞賞を受賞(H23)された書家である

 彼女は私たちに「夢とは『叶える』ことではなく、わくわくすることを探して『追いかける』ことですよ。どうか心の中の夢のスイッチをONにして、今のあなたを輝かせてほしい」と。

◆このときの「夢」とは、我々世代には何か特に大きなことではなく「欲しいものは?」「やってみたいことは?」「行ってみたいことは?」など、小さなことだけれどもわくわくするようなこと、と言い換えても許されよう。

◆かのモーツアルトも「夢」について述べている言葉を思い出す。

      「夢を見るから人生は輝く」と。

 夢を追い求めているかぎり、夢ある人生であり続けるというモーツアルトの言葉は、白汀さんの思いと重なる。

◆今年は辰年。夢を持ち、夢に向かって天を駆ける竜にあやかれる年。

 夢を追うとは遠い未来のためでなく、「今日を」「今を」楽しくしてくれるために追いかけることのようだ

 一日に5分でも10分でも「無我夢中」になって、時間が経つのを忘れるようなわくわく時間をもてますように。


(R6.3.30岡山東支部事務局子)



親子の絆

◆元日の夕に発生した最大震度7を観測した能登半島地震。

 間もなくひと月がくる。今も被害の全容はつかめない。安否不明や生き埋め被害拡大情報には一層心が痛
む。

◆そんな中、帰省中の実家で地震に遭遇した北陸新聞記者の体験が報道されていた。(山陽新聞「滴一滴」1
/3)

 ―親の上に、壁が丸ごと落ちてきた。父親を車椅子に乗せ、ふすまや落ちた壁、割れたガラスなどを外へ放り
出し、玄関の戸を蹴破って外へ出たーと。

◆災害時での人間の絆、親心といえば、忘れられない感動的な話がある

 平成25年5月12日、中国四川省での大地震。翌日、救助隊が建物の下敷きになって、両手を地につきひざ
まずいた状態で死んでいる女性を発見。そのとき、何か声が聞こえた。ひざまずいている女性の体の下の空間
に生後3~4か月の男の子が毛布にくるまって眠っていた。

 毛布の中からケイタイが出てきた。そのケイタイには「いとしい私の赤ちゃん。もし生き延びられたら、お母さん
があなたを愛していたことを、お・ぼ・え・て・い・て・ね」と。

 母は、自分の体の下で赤ちゃんを守った。わが命を捨てて我が子を救った。(「ちょっといい話」11集、一心寺
刊、有本亮啓 大阪大鏡寺住職)

◆親子の絆、親心というものに触れて涙せずにはいられない。

 今回の「能登半島地震」。山崩れ、津波、家屋崩壊などの被害の報道の一方で、このような心洗われる話も発
掘されてくるに違いない。

 いいな。いいな。人間っていいな。「人間賛歌」のメッセージである。


(R6.1.29岡山東支部事務局子)